腕時計は、ただ時刻を知るための道具ではなく、持ち主の時間や思い出を積み重ねていく相棒のような存在です。
しかし、精密なパーツが何百と組み合わさって動いているため、日々の使用や保管方法によってどうしても劣化してしまいます。
そこで必要になるのが「オーバーホール」です。
オーバーホールはすべて分解する必要があり、自宅で簡単にできるものではないため、頻度や費用が気になるのではないでしょうか。
この記事では、オーバーホールについて、費用や頻度はもちろん、行ったほうがよいタイミングなどについて解説します。
長く使うための秘訣もお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。
【時計の基本】オーバーホールとは?
オーバーホールとは、内部の部品をすべて分解し、洗浄・交換・調整を行うメンテナンスのことです。
見た目だけを整える「クリーニング」とは異なり、内部の状態を新品に近づけるための処置ともいえます。
具体的には、まず腕時計を分解し、一つひとつの部品を丁寧に超音波洗浄してから、専用の潤滑油を注入して、もし必要なのであればパッキンなどの消耗品を交換します。
オーバーホールは、自動車でいうと車検、人間に例えるなら健康診断とイメージしていただくと分かりやすいかもしれません。
車と同様、時計も内部が常に動き続けているため、定期的なメンテナンスが欠かせません。
特に重要なのが「潤滑油」。
時計内部で使われている潤滑油は、時間の経過とともに劣化していきます。
潤滑油が切れた状態で使い続けてしまうと、歯車や軸が直接こすれ合い、内部の摩耗が少しずつ進行していきます。
摩耗が進むほど精度は安定しにくくなり、針のズレや動作の乱れといった不調が現れることもあるでしょう。
さらに悪化すると、部品そのものが傷つき、通常のメンテナンスでは手に負えない大掛かりな修理・部品交換 が必要になることもあります。
こうした状態を避けるために必要なのが、定期的なオーバーホール。
「壊れたから修理する」ではなく、壊れないように整えておくためのメンテナンスです。
大切な時計を長く愛用するための“予防策”ともいえます。
オーバーホールの実施頻度
時計を長く愛用するためには、適切なタイミングでオーバーホールを行うことが重要です。
メーカーや種類、使い方によってオーバーホールの頻度は異なってきますが、ここでは一般的にオーバーホールをした方がよいとされている頻度を紹介します。
機械式時計の場合
メーカーによっても異なりますが、おおよそ 3〜5年に一度が目安とされています。
機械式時計は、ゼンマイと歯車の動きによって動力を生み出す構造です。
そのため、内部で使用されている潤滑油が時間とともに乾燥しやすく、油の劣化が精度に大きな影響を与えます。
特に全く使用していない時計は油が凝固し、劣化が早まってしまうため、時期に関わらず、早めにオーバーホールを検討することをおすすめします。
また、毎日身に着けている方や、汗・湿度の影響を受けやすい環境で使用している方は、少し早めのサイクルでメンテナンスを考えると安心でしょう。
「問題なく動いているから大丈夫」と感じていても、内部では劣化が進んでいることが少なくありません。
クォーツ式時計の場合
クォーツ式時計は、4〜6年に一度を目安にオーバーホールをした方がいいとされています。
「クォーツ式は電池交換だけで十分」「オーバーホールは不要」といった意見もありますが、長く使い続けたい場合は定期的なメンテナンスが欠かせません。
クォーツ式は電池を動力としているため、電池交換すればよいと思う方もいるかもしれません。
ですが、内部には機械式と同じように歯車や軸が組み込まれているため、潤滑油の劣化やパーツの摩耗は同様に進行するため、オーバーホールする必要があります。
また、パッキンの劣化による防水性の低下にも注意が必要です。
見た目に変化がなくても、汗や湿度によって少しずつパッキンは硬化していきます。
この状態で水分が内部に入り込むと、ムーブメントが錆びてしまい、修理費用が高額になる可能性が高いです。
クォーツ式時計は安価なものが多いため、高いお金をかけてまでオーバーホールせず買い替えるという選択肢もあります。
しかし、プレゼントで受け取ったもの、記念で購入したものなど、思い入れのある時計であれば、オーバーホールを行いながら長く使い続ける価値は十分あるでしょう。
こんなときにオーバーホールを依頼するのがおすすめ!
先ほどお伝えした「3〜5年」「4〜6年」といった頻度は、あくまでも一般的な目安です。
実際には、使用状況や保管環境によって劣化の進み方は変わります。
特に以下のようなサインが見られる場合は、時期に関係なく早めのオーバーホールがおすすめです。
時間大幅にズレるようになった
時間が大きくズレる原因として、機械式・クォーツ式どちらにもあげられるのが油切れや磁気帯びです。
これらは、オーバーホールで洗浄・注油を行うことでほとんど解決します。
歯車やゼンマイの劣化も考えられますが、定期的にオーバーホールをしていれば、部品交換をせずに調整だけで済むかもしれません。
また、クォーツ式時計特有の原因として、電池の劣化も有り得ますが、電池交換だけ行うより、オーバーホールも依頼するのがおすすめです。
内部が洗浄され、必要な注油が施されることで、動作が滑らかになり、電池の持ちが良くなる・パーツの摩耗が抑えられるといった効果に期待できます。
時計から異音がするようになった
時計から「カタカタ」「ギリギリ」など、いつもと違う音が聞こえる場合は、時計のエンジンとも言えるローターという内部パーツが傷んでいる可能性があります。
そのまま使い続けると、他のパーツを傷つけてしまい、破損が広がり、修理費用が高額になるリスクがあります。
時計の異音は、早めに対処すると最小限の修復で済むサインです。
破損しているパーツを交換し、内部機械に油を差すことで解決することもあるため、異音がしたら速やかにオーバーホールを行ってください。
ガラスが曇るようになった
ガラスや裏蓋が白く曇るのは、時計の内部に水分が入り込んでいるためです。
逃げ場のない水分がガラス面に結露として表れており、そのまま放置するとムーブメントが錆びついたり、パーツが腐食したりする原因になります。
水中でリューズを操作した場合でも隙間から水が浸入してしまうため、防水機能がある時計だとしても注意が必要です。
内部に水分が残ったまま使用すると、ムーブメントや歯車が錆びてしまい、故障や腐食につながる恐れがあります。
曇りが見られたら、それはできるだけ早くオーバーホールを依頼して欲しいという時計からの悲鳴かもしれません。
分解・洗浄・乾燥を行い、必要に応じてパッキンなどの防水パーツを交換することで、内部の状態を整え、防水性も回復できます。
長時間使っていなかった時計を久々に使用するとき
しばらく使っていなかった時計は、内部の潤滑油が固まり、各パーツの動きが悪くなっている可能性があります。
オーバーホールしないままで動かしてしまうと、摩擦が大きくなり、歯車や軸の摩耗が一気に進んでしまうこともあります。
そのため、再び使い始める前に、一度オーバーホールで内部を整えておくと安心です。
また、クォーツ式時計の場合は、内部の電池が劣化して液漏れを起こすリスクがあるため、長期間使用する予定がない場合は、電池を取り外して保管しておくと良いでしょう。
オーバーホールの費用相場
オーバーホールにかかる費用は、ブランドやムーブメントの種類(機械式/クォーツ)、時計の構造や状態によって大きく変わります。
一般的に、機械式の方が精密な構造のため、クォーツ式よりも費用は高めです。
以下に、代表的なブランドごとのオーバーホール費用の目安をまとめました。
ぜひ参考にしてください。
| ブランド | 機械式 | クォーツ式 |
| ロレックス | ¥33,000〜 | ¥33,000〜 |
| オメガ | ¥38,500〜 | ¥33,000〜 |
| タグ・ホイヤー | ¥33,000〜 | ¥22,000〜 |
| ブライトリング | ¥44,000〜 | ¥38,500〜 |
| IWC | ¥38,500〜 | ¥27,500〜 |
| カルティエ | ¥38,500〜 | ¥27,500〜 |
| チューダー(チュードル) | ¥27,500〜 | ¥22,000〜 |
| ハミルトン | ¥24,200〜 | ¥19,800〜 |
| セイコー | ¥16,500〜 | ¥11,000〜 |
| シチズン | ¥16,500〜 | ¥11,000〜 |
参考:https://www.igimi.co.jp/watch-repair-fee/overhaul/
価格については、業者によって異なると思いますので、お近くのお店に問い合わせてみてください。
時計を長く使い続けるためにできること5選
大切な人からの贈り物や、自分へのご褒美として手に入れた時計を手に入れ、「一生使い続けたい」と考えている方も多いでしょう。
しかし、時計は精密なパーツが重なって動く機械であるため、何もケアをせず身につけ続けていると、少しずつ負担が蓄積してしまいます。
定期的なオーバーホールを行うことはもちろん、普段の扱い方や保管の仕方を少し意識するだけでも、時計の寿命は大きく変わります。
今日から、以下5つのポイントを意識してみてください。
- 電池や潤滑油による内部の劣化を防ぐ
- 衝撃と磁気から保護する
- 直射日光や高温多湿を避けて保管する
- こまめなお手入れ
- 定期的なオーバーホールを欠かさずに
電池や潤滑油による内部の劣化を防ぐ
クォーツ式時計は、電池が切れたまま放置するのが一番のリスクです。
劣化した電池は、内部で液漏れを起こすことがあり、ムーブメントに大きなダメージを与えます。
そのため、電池切れに気づいた際はできるだけすぐに交換することや、長期間使わない場合は電池を取り外して保管しておきましょう。
それだけで電池の液漏れなどによる内部の損傷をしっかり防げます。
一方、機械式時計は “動かし続けること” がメンテナンスのひとつ。
ゼンマイを巻くと、内部で潤滑油がやわらかく巡り、パーツ同士の動きが整います。
時計にとっては、軽い準備運動のようなものです。
毎日ゼンマイを巻いてあげることが理想ですが、できない場合でも3ヶ月に1回以上は行ってあげてください。
長く止めたままにしておくと、潤滑油が固まり、再び動かしたときに摩耗が一気に進むことがあります。
「時々動かしてあげる」だけで、寿命は大きく変えられます。
衝撃と磁気から保護する
腕時計は見た目は小さくても、中には何百もの細かなパーツが組み合わさってできています。
だからこそ、強い磁気や衝撃は大敵です。
まず、磁気について。電子レンジやテレビ、スピーカーなどの家電は、目には見えませんが強い磁力を放っています。
近くに置いているだけでも、時計の内部でパーツが引き寄せられてしまい、時間のズレや動作不良の原因になることがあります。
また、意外と忘れがちですが、パソコンやスマートフォンも磁気を帯びています。
同じ場所に保管する場合は、10〜20cmほど距離を空けておくと安心です。
次に、衝撃にも注意が必要です。
腕時計は精密な部品で構成されているので、ガラスやケースが無事でも、内部の歯車や軸がダメージを受けていることがあります。
机に“コツン”とぶつけただけでも、精密なバランスが崩れてしまうことがあるほどです。
特に、ゴルフやテニス、野球など、腕を大きく振るスポーツ中は外しておくのがベスト。
時計にとっては、強い振動が「体を揺さぶられ続ける」のと同じ状態です。
参考:https://www.jcwa.or.jp/time/qa/qa10.html
直射日光や高温多湿を避けて保管する
腕時計にとって、高温多湿と直射日光は“静かなダメージ”を与える大敵であり、これらを割けることが重要です。
気づかぬうちに劣化が進むため、扱いには注意が必要しましょう。
湿気の多い場所で保管すると、金属パーツが徐々に錆びたり、内部に水分が溜まって腐食が進んだりすることがあります。
お風呂やサウナなどは、短時間でも時計にとっては負担が大きいため、着けたまま入らないようにしましょう。
また、直射日光は文字盤の色焼けや、レザーベルトの乾燥・ひび割れの原因になります。
日差しの当たる窓辺に置きっぱなしにするのは避けたいところです。
理想的な保管環境は、気温5~35度の範囲内で、直射日光が当たらない風通しの良い暗所です
腕時計は、専用ケースやスタンド、アクリルカバーなどに入れて保管しておくと、湿気やホコリからもしっかり守れます。
こまめなお手入れ
腕時計を長く楽しむためには、使ったその日のケアが欠かせません。
腕には汗や皮脂が付着しているため、これらを放置すると金属部分に汚れが蓄積し、サビや変色の原因になることがあります。
使用後は、マイクロファイバークロスやセーム革など、やわらかくて吸水性の高い布で、表面をそっと拭き取るだけでOK。
これだけでも、見た目の美しさとコンディションを長く保つことができます。
さらに、ブレスレットのコマやケースの隙間など、汚れが溜まりやすい部分が気になる場合は、やわらかいブラシで優しく掃き出すと効果的です。
強くこすらず「なでる」イメージがポイントです。
毎日のほんの数十秒が、時計を何年先までも美しく保つための1番の近道です。
定期的なオーバーホールを欠かさずに
時計を長く使い続けるためには、「壊れてから」ではなく「壊れる前」に内部を整えておくことが大切です。
すでに紹介したように、腕時計は定期的なオーバーホールによって、潤滑油の劣化・摩耗・防水性の低下などを防ぐことができます。
お気に入りの時計を、これからも気持ちよく身につけたい。
そう感じるなら、今のうちに一度、内部の状態を見直しておくのがおすすめです。
動かなくなった時計は「トリカイ」の買取サービスへ
トリカイでは、ロレックスやオーデマピゲなどの高価な時計の買取実績が豊富にあります。
寿命がきて動かなくなった時計でも、査定して買い取らさせていただいております。
買取価格はブランドやモデルによって買取価格は異なりますが、専門の査定士が一点ずつ丁寧に状態を確認し、ご納得いただける価格をご提示します。
送料・査定料はすべて無料。お電話・メール・LINEからお気軽にご相談いただけます。
特に、LINE無料査定は最短5分で完結するため、忙しい方にもおすすめです。
「まずは相場だけ知りたい」という方でも、ぜひ一度トリカイへお問い合わせください。
まとめ:時計は3~5年を目安にオーバーホールを依頼して長く愛用しよう
時計は定期的にオーバーホールし、内部部品を点検・整備することが大切です。
人間も定期的に健康診断を受けて、身体の状態をチェックしますよね。
それと同様です。
機械式の時計は3~5年に1度、クォーツ式時計は4~5年に1度、オーバーホールを行うようにしましょう。
それほど時間が経っていなくても、時計から異音がしたり、時間がずれたりするときは、オーバーホールを依頼し点検することをおすすめします。
また、日頃の保管環境や取り扱い方、定期的なお手入れによって、時計の寿命は大きく変わります。
もし、それでもお手持ちの時計が動かなくなってしまったのであれば、トリカイの買取サービスを検討してみてください。
LINEの無料査定サービスは5分で完結するので、忙しい方に非常におすすめです。
あなたの大切な時計が、価値ある形で残り続けますように。

